<予告編>
「沖縄に、日本一大きなドングリがなる木がある。」
そう聞いて驚く方は多いと思います。
その木の名前はオキナワウラジロガシ。
南西諸島だけに生育する固有種で、日本最大級のドングリを実らせます。
今回のYAAYAの新しい散策コースでは、この巨木に会いに行きます。
森の奥で出会う、圧倒的な存在感
歩き始めは静かな林道。
やがて森の奥へ進むと、やんばるらしい深い森が広がります。
シダ植物、巨木、木漏れ日。
耳を澄ませば鳥の声だけが聞こえます。
途中には、人々が山で暮らしていた時代を伝える藍壺や杉も残っています。
「昔の人はこんな山奥で生活していたのか。」
そんなことを想像しながら歩く時間も、このコースの魅力です。
日本一大きなドングリをつける木
そして森の奥に現れるのが、
オキナワウラジロガシの巨木。
近づくにつれ、その幹の太さに圧倒されます。
沖縄にも、これほどの巨木があることに驚く方も多いでしょう。
巨木の周囲は保護のため立入禁止ですが、ロープの外からゆっくり半周しながら、さまざまな角度で観察できます。
- 樹高:約22m
- 幹周:約6m
- 推定樹齢:約300年以上
で、「沖縄の名木百選」にも選ばれています。

写真では伝わらない迫力を、ぜひ現地で体感してください。
ここで少し休憩し、お弁当を楽しみます。
やんばるの生きものにも出会えるかも
季節によっては、


リュウキュウヤマガメとイルカンダの豆のさや
など、多くの生きものを観察できます。
また、約8000万年前の四万十帯の岩石を見ることができます。
歩く速さを競うツアーではありません。
立ち止まり、見上げ、耳を澄ませながら歩く。
それがYAAYAらしい森歩きです。
コースについて
このコースの所要時間は約3時間です。
歩き始める前に約30分、やんばるの自然や歴史について、写真や実物サンプル、紙芝居などを使って事前学習を行います。
歩き出す前にはトイレがありますが、その後約3時間半はトイレがありません。
出発地点には伊部岳実弾射撃演習阻止闘争之碑があります。

ご希望があれば、米軍統治時代の歴史や地域の人々の運動についてもご紹介します。
安全について
オキナワウラジロガシの巨木へ向かうルートは、一般的な林道歩きとは異なります。
急な上り下りがあり、赤土が露出した滑りやすい場所を通りますので、
かかとをホールドしているハイキングシューズを強くお勧めします。
※トレッキングポール(杖)は、YAAYAで準備しています。


特に雨天や、前日までの降雨がある場合は転倒・滑落の危険が高まるため、実施の可否は当日の現地状況だけでなく、2日前からの天候も考慮して判断します。


安全を最優先するため、状況によってはコースを変更する場合があります。
その際は、辺野喜ダム周辺など、やんばるの森林を安全に歩け風景が良くヤンバルクイナに出会える可能性が高い別コースへご案内します。
YAAYA Cコース Part1等を参照ください。

皆さまの安全を守るための判断ですので、ご理解をお願いいたします。
森は、急いで歩く場所ではありません。
巨木を見上げる。
昔の暮らしに思いをはせる。
鳥の声に耳を澄ませる。
日本一大きなドングリをまじかで見る。
YAAYAと行く、日本一のドングリ探しの旅。
<8月13日 本番編>
巨大な台風13号が沖縄に上陸し、二昼夜にわたって激しい風雨がやんばるを襲いました。
そして、その5日後。
今度は台風15号が関東へ接近するなか、まるで二つの台風の間を縫うようなタイミングで、神奈川県からKさんが無事、名護市に到着されました。
ツアー当日の朝は、久しぶりの青空。
午前9時、名護市内のホテルを出発し、まず向かったのは比地川上流に架かる長尾橋です。
ここからは、緑に覆われたやんばるの山々を一望できます。
橋の上や周辺をゆっくり歩きながら、まずはやんばるの空気を感じていただきました。
足元には、台風で落ちた枝や葉がまだあちこちに残っています。
青い空と、いつもと変わらないように見える緑の山々。
しかし、その森の中には、巨大な台風が通り過ぎた痕跡が確かに残っていました。そんな台風のあとのやんばる歩きのスタートとなりました。

長尾橋 Kさんと私
長尾橋をあとにして、車で30分ほど移動し、普久川ダムへ。
ここで軽い昼食をとりながら、私が用意した紙芝居を使って、沖縄・やんばるの自然について20分ほどお話ししました。
ただ景色を見るだけでなく、「なぜ、やんばるにはこのような自然があるのか」「森の中ではどんな生き物たちが暮らしているのか」――。
これから実際に歩く森を、少し違った目で見てもらうための“予習”です。
Kさんも興味を持って聞いてくださり、話をする私にも自然と力が入りました。
そして普久川ダムから車でさらに15分ほど走り、いよいよ伊部岳の出発地点へ。
実はツアー前日、安全確認のためにこの場所を下見した際、思いがけない出会いがありました。
ヤンバルクイナとアカヒゲです。
どちらも、やんばるを代表する貴重な鳥で、国の天然記念物に指定されています。
ヤンバルクイナは沖縄島北部のやんばるだけに生息する飛ぶことが苦手な鳥。そして、この森で見られるホントウアカヒゲも、やんばるを代表する希少な鳥です。
そんな二種類の鳥が、前日の下見では比較的警戒する様子もなく姿を見せてくれました。
こちらが静かにしていると、慌てて逃げることもなく、ゆっくり動画を撮ることができました。
台風が通り過ぎたばかりの森で出会った、やんばるの住人たち。
「明日も姿を見せてくれたらいいな」
そんなことを思いながら下見を終えたのですが――。
さて、本番当日はどうだったでしょうか。
逃げようのない二つの種の「妥協点」
山道を歩いていると、ときどき不思議な光景に出会います。
二つの植物が、同じ場所で成長しながらぶつかり合っています。
動物なら、相手が邪魔なら場所を移すこともできます。しかし、地面に根を張った植物は、そう簡単には逃げることができません。
光を求め、水を求め、少しでも成長しようとする。
それでも、お互いにそこから逃げることはできない。
写真を見ると、まるで一方が相手を押し、もう一方も押し返しながら、長い時間をかけて「ここなら、お互い何とか生きていける」と折り合いをつけたように見えます。
私は、こんな姿を**「逃げようのない二つの種の妥協点」**と呼んでみました。
もちろん、植物たちが話し合って決めたわけではありません。
それでも、長い年月をかけてできあがったこの形を見ると、森の中にも「せめぎあい」と「折り合い」があるように感じます。
やんばるの森は、珍しい生き物を探すだけでなく、こんな小さな光景に足を止めて想像してみるのも面白いところです。

ヤンバルクイナとの出会いを求めて
Kさんには、「できればヤンバルクイナに出会ってみたい」という希望がありました。
そこで、お伝えしたのは、
「自分の気配をできるだけ消して、ゆっくり歩いてみましょう」
ということ。
足音を小さくして、急がない。
近くの茂みだけを見るのではなく、ときどき立ち止まり、遠くへもゆっくり視線を動かす。
鳥を一生懸命「探す」というより、こちらの存在感を小さくして、森の中に溶け込んでいくような感覚です。
しばらくすると、Kさんの歩き方も少しずつ変わってきました。
ストックを手に、静かに、ゆっくりと森の中を進んでいく。
その後ろ姿を見ていると、ふと、森の中で修行する僧侶の姿が浮かんできました。
ところが、ご本人は、
「どうしても欲が出てしまいますね」
と笑います。
でも、それが自然なんだと思います。
「もしかしたら、この先にいるかもしれない」
そんな期待があるから、森を歩くのは楽しい。
私自身、何度この森を歩いても、毎回わくわくします。
今日は何に出会えるだろう。
出会えるかどうか分からないからこそ、森は面白い。
そんな期待を胸に、できるだけ気配を消して歩きました。
形あるものは、いつか崩れる
― 1000年の巨木が教えてくれたこと
形あるものは、いつか崩れる。
やんばるの森に立つ、樹齢1000年ともいわれるオキナワウラジロガシの巨木。
先日の巨大台風では、猛烈な風をまともに受けながらも、倒れることなく立ち続けていました。
台風通過から4日後。
ツアー前日の下見でこの巨木を訪れ、いつものように写真を撮りました。
そして翌日、お客様をご案内して再び巨木の前に立ち、写真を撮りました。
そのときは気づきませんでした。
あとで前日の写真と見比べて、驚きました。
わずか一晩のうちに、幹にできていた大きな割れ目がさらに裂け、巨木の姿が大きく変わっていたのです。
1000年もの長い年月、台風や大雨に耐えてきた巨木です。
一見すると、どっしりとしていて、まだまだ丈夫そうに見えます。
しかし実際には、巨大台風の力を受け止め、ぎりぎりのところで立ち続けていたのかもしれません。
そして台風が去って何日も経ってから、そのダメージが一気に表れた。
自然の中では、「今、風が吹いていないから安全」「木が立っているから大丈夫」とは限りません。
目には見えないところで亀裂が入り、根が傷み、枝や幹が限界まで耐えていることがあります。
今回、この老木の変化を目の前で見て、改めて感じました。
自然の中には、人間には気づきにくい危険がある。
1000年を生きてきたオキナワウラジロガシが、自らの姿を通して教えてくれたような気がしました。
急がず、触れず、やんばるの空気を味わう。
そして、ときには立ち止まって、森が発している小さな変化。
それも、やんばるの森を歩くということなのだと思います。


目的地、オキナワウラジロガシの巨木へ
そしてついに、この日の目的地であり、ツアーの到達点となるオキナワウラジロガシの巨木へ。
Kさんが今回のツアーに参加された大きな目的は、この巨木に会うことでした。
日本最大級のドングリを実らせるオキナワウラジロガシ。
Kさんは、ただ「日本一の巨木を見てみたい」というだけではなく、この木がどのような環境に根を張り、周囲の植物と関わりながら生きているのか、その生態そのものに興味を持たれていました。
だから、巨木に到着しても、記念写真を撮って「さあ、帰りましょう」とはなりません。
むしろ、ここからがKさんにとっての本番でした。
巨木を中心としたわずか20mほどの範囲を、約1時間。
幹を見上げ、根元を観察し、周囲の植物や地面にも目を凝らす。
ときには立ち止まり、森の奥へ視線を向ける。
その姿は、森のわずかな変化や気配を読み取ろうとする、マタギのような雰囲気にも見えました。
20mを、1時間。
目的地に「到着する」ことと、目的地を「味わう」ことは、まったく違うのだと思います。
Kさんは、この巨木とその周囲に流れる時間を、急ぐことなく十分に楽しんでいました。
今回の経路には、通常の日帰り登山と比べても厳しい場所がありましたが、日頃からハードな運動で身体を鍛えているKさんは、難なく歩き切り、無事にツアーを終えることができました。
振り返ってみると、この日のハイライトは、やはりオキナワウラジロガシの巨木の前で過ごした1時間だったように思います。
遠くまで歩くことだけが、森を楽しむことではありません。
目指した一本の木にたどり着き、その木の周りで立ち止まり、じっくり観察する。
目的地まで歩く時間も楽しい。
そして、目的地に着いてからの時間は、もっと楽しい。
そんな、YAAYAらしい一日になりました。
Kさん、ご参加ありがとうございました。
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🌿 YAAYA —————————-
やんばるには、ゆっくり歩き感じることで初めて気づく魅力がたくさんあります。
YAAYAでは、少人数制のやんばるガイドツアーとして、安全に、自然の成り立ちや生きものたち、そして古くから受け継がれてきた物語をご案内しています。
急がず、触れず、やんばるの空気を味わう。
YAAYA – Small-Group Yanbaru Guided Tours
