昔、長野県に住んでた時、高山で「アサギマダラ」を見たことがあるのでアサギマダラは高山蝶だと思っていた。ところが、「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」から、越冬する「リュウキュウアサギマダラ」が今だけ観察できるツアーのパンフレットを見て、2000㎞以上を旅する蝶が定住してしまったのかなと興味が湧き、12月22日に参加した。
ツアーは、ガイドで大宜味村上原地区区長の松川さん、去年も参加された女性の方が1名、主催者の石井さんと私の計4名でした。日程は、蝶が集まるタイミングに合わせて、遅めの14時からの出発で3時間くらいの散策でした。
コースは、「道の駅おおぎみ やんばるの森ビジターセンター」集合⇒上原集会所⇒村落散歩⇒上原集会所でした。
上原地区は、ウィバルと呼ばれ、区民数十名の静かなゆっくりとした風が流れているのどかな集落でした。ツアーの散策を始めると、まずはシークワーサ畑と昔のハイビスカスの原型がお出迎え。
しばらく進むと、ティサガ森、クガニ岳、南クガニ岳、塩屋富士を望める場所に出た。山々は古い石灰岩で構成されていて、円錐カルストの構造で三角形の山の連なりには神聖な感があった。山々の標高が300mほどで低く分、身近で親しみが湧く。
少し進むと、ティサガ森(ムイ)とシマタゴがお出迎え。ティサガムイは、地元の信仰の山で低いながら荘厳な圧を感じた。それを、落葉した石灰岩土壌を好む高木「シマタゴ」が白樺を思わせる様相で癒してくれた。
さらに進むと、ナガサキアゲハやツマベニチョウがお出迎え。
またしばらく行くと、冬に花を咲かせミツバチのよりどころであるフカノキの花、ハブカズラやヒゼンマユミを横目に蝶の生息する森に入った。
ガイドの松川さんより、植物や地層の話等色々聞かせて頂いた。その中で、特に面白かったのは、ノグチゲラ(固有種の蝶)とナガミボチョウジの木の話でした。
ノグチゲラはキツツキの仲間で地面で虫を捕食する。その虫の中にトタテクモが居て、ヤンバルの苔むした土表面近くで巣を作っている。試しに、探したが見つからない。ノグチゲラならたやすく見つけるに違いない。
また、ナガミボチョウジの木は、石灰岩のアルカリ土に生息するが、上原地区では、酸性の土でも生息している。おそらく、アルカリ土壌で定着し繁殖したが、土壌が浸食され下の層である酸性土に徐々に接触する過程で酸性に耐ええる体質に変わって順応した可能性を指摘された事であった。
ナガミ ボチョウジ
さらに進み、森に入りリュウキュウアサギマダラの生息域に入る。
いる! いっぱい連なっている!!
静かな森に羽が広げられないくらいソーシャルディスタンスが保てない状態で、小枝にぶら下がっていた。これが、なぜ越冬支度なのか、おしくらばんじゅうで体温を保持するのだろうとも思えた。
ちなみに、沖縄にも「アサギマダラ」は飛来するが、好む温度が違うために生息する領域がリュウキュウアサギマダラと異なり、出会うことは無い。もし出会ったら交配が可能と思えるぐらいに似ているが、学術的には別属との事。
二羽の蝶を合わせてみたら「New リュウキュウアサギマダラ」が誕生するかもと期待しながら、楽しくツアーを終えた。
By 山田