私は、沖縄に移住する前に長い間信州の渓流でフライフィッシングを楽しんでいました。フライフィッシングは、昆虫等に似せた毛ばりを重さのあるライン(道糸)をムチの原理と竿のしなりを使って、遠くの魚が食いつきそうなポイントへ投入(チャスティング)し、魚が本物と錯覚し食い付くのを利用する釣法です。
沖縄では、信州のような渓流が無いため、海岸線でウキをコマセを使ったエサ釣りを6年ほど楽しんでました。昨年(2022年)から、珊瑚が群生しているイノーのね根付き魚を泳ぎながら釣り始めました。当初、リールの無い短い竿で挑戦していましたが警戒され中々釣れません。さらに、糸の絡みや根掛かりが多く面白くないので、新たな別の選択に迫られました。
そこで、フライフィッシングの本道から外れますが、ラインの先にクッションゴムを数10cm、その先の細い糸(ハリス)を数10cm、そして餌針の仕掛けを思いつきました。ここで、ハリスの中間より針側に小さなウキ(フロート)を付けます。この仕掛けでは、もしオモリ役のクッションゴムが枝サンゴの中に落ちても、鉛の錘のように枝サンゴの茂みに入り込みません。さらに、その重さでチャスティングが正確になります。また、フロートが、餌針を最低から5~10cm上に漂わせることができます。
シュノーケリングをしながら、キャスティングをして、海底の魚を見ながら誘い食わせたときは、とても到達感があり興奮します。
2023年5月19日、梅雨入り三日目の晴れ間に、やんばる国道58号線沿いの与那海岸沖のイノーで、今年初めてのフライフィッシングを楽しみました。まだ、二時間程泳ぐには早いので、腰まで浸かって立ち釣りをしました。

今回の道具は、竿が #5ロット、道糸が#5のフローティングラインに、1gのサルカンを介して直径3mmで長さ65cmのクッションゴムと繋ぎ、ティペット(ハリス 直径0.3mm)を20cm~1m繋ぎチヌ針4~6号を結んでいます。
ターゲットの魚は、根付魚のトラギスとミーバイです。トラギスは、砂地にいて素揚げでパリッとヒレまで食べれる美味しい魚です。イノーのミーバイは、小さいので味噌汁にすると独特の出汁が出て美味しいです。
釣りポイントとなる砂地にしても枝サンゴのカケラが敷き詰めらているので、針や鉛が着底すると すぐに根掛かりしてしまします。そこでオモリをクッションゴムにして弾力を持たせながら重力を分散させることで沈み込みと引っ掛かりを防止しています。さらにハリスに針が浮く程度の小さなウキを付けて、海底から10~30cm上にエサが漂うようにしています。クッションゴムは、10m以上コントロール良く飛ばすのに十分なオモリで、ハリスとのカラミが起こりにくいです。
2023.05.19 与那のイノー 沖の白波が折れ海の色が変わるところがリーフ(浅瀬)
漁場であるイノーは、沖数百メートルにできる浅瀬(リーフ)と海岸に挟まれた自然の浅瀬の内海です。海岸線から数十メートル沖からサンゴと砂地がマダラ模様で点在しています。
与那海岸の波打ち際では、山から来た砂とサンゴ由来の石灰岩の砂とが融合したできた天然のセメントである、ビーチロックが数百メートに渡ってあります。
エサですが、残念ながら毛ばりではなく、青魚の皮付き短冊切りがベストです。今回は、ストックがなかったので、オキアミ(小エビ)とネリエサ(小麦粉とオキアミをミンチにして集魚剤と合わせて混ぜたもの)を使いました。
オキアミとネリエサを人の食べ物で例えると、ステーキとハンバーグに相当すると思います。私の昔からの先入観で、「原始人にハンバーグを出しても警戒して食べないハズ!」なので、ネリエサは不利と思い込んでいました。ところが、沖縄では、アイゴ(カーエー)やブダイ(イラブチ)は、ネリエサの方が釣れるので、ひょっとしたらイノーでもネリエサが有利かもしれないと今回試してみました。
魚は、左からヒメジ、トラギス、カワハギ エサ:左オキアミ 右ネリエサ 竿:Orvis’ #5 リール:MARRYAT MR75 ライン:WF-5F
海岸から20~50m離れた場所で釣りました。約2時間の釣行でエサを交互に変えた釣果は、ネリエサでの当たりが2回で1匹釣れ、オキアミでは6回当たりがあって2匹釣れました。もしかしたら、イノーの魚は、ステーキ好きなようです。
2023年5月23日、沖縄は、梅雨入り宣言直後から晴れる傾向があるかもしれません。晴れたので、風向きを考えて、本部半島の美ら海水族館に近い瀬底島の南東側の海岸でフライフィッシングを楽しみました。
沖が本部半島 偏光グラスとネリエサ触る谷バンダナは欠かせません。
昼2時から4時半まで、海岸から 20m程で、エサ、カツオの腹皮付き、オキアミ、ネリエサで釣って、カツオ4回当たって2匹、オキアミ1回当たり、ネリエサ反応無しでした。
アカハタ
ここでは、カイツオのエサが圧倒的に強い結果となりました。
<2023年6月8日>
6/8 イノーで泳ぎ釣り
梅雨の晴れ間が続き、また与那海岸で、フライフィッシングをしました。
今回は、水温が上がり、水中メガネを付けて、正当なシュノーケリング&フライフィッシングでした。
泳釣り一式
道具は、ライフジャケット、足ヒレ、浮き餌カゴ、フライロットとラインでリール無し、獲物収納ウキカゴになります。
釣果20260608
今回の2時間半の釣果は、トラギス5匹、イシミーバイ1匹、ベラ1匹でした。
見ながら魚の修正を見定めながらの釣りは、とても興奮する楽しい釣法で、釣りの原点が感じられます。
読者の皆様も、安全に留意してお楽しみください。
By 山田YRN 2023年6月
追記
春の大潮に誘われて、フライフィッシングをリーフエッジで楽しんだが、、春の大潮に誘われ、私はリーフエッジに立っていた。
フライフィッシングというには、いささか場違いな場所である。
最後のフライ竿の姿
ラインの先に、カツオの”たんざく切り”を載せて、リーフエッジの裂けめで大浪に合わせて流れが往復する流れの芯――そこが、この海の「ツボ」である。
ラインがゆっくり沈む途中で小さな当たりが出るが、合わせずに本当りを待って強く合わせる。ロックフィシュは、捕食後の反転で岩に入り込んだら根がかりになってしまうからだ。
リーフエッジの割れ目 遠くに安須森の山
数匹を得たあと、明らかに違う重みが乗った。
間をおいて、強く合わせる。
次の瞬間、魚は海の奥へではなく、私の足元よりさらに奥へ――
えぐられた岩陰へと突っ込んだ。
そのリーフエッジは、わずかに張り出している。
人の立つ場所よりも、海の方が有利なのである。
思わず両手でロッドを握り、足元の岩に竿が当たらぬように強く引き上げた。
――その瞬間であった。
手元から、乾いた音がした。
グラスファイバーが裂ける、あの独特の響きである。
釣り人にとって、それは魚を逃す音ではない。
道具が、限界を告げる音である。
そもそも、フライの仕掛けがこの釣りに適していないことは、はじめから分かっていた。
沖縄本島において、フライ本来の釣り場は、ほとんど存在しない。
それでもなお、流れに乗せて投げることのできる、この場所には魅力があった。
川の釣りに比べれば、魚の力は倍ほどにも感じられる。
だが、その代償は小さくない。
魚を掛けたあとの一瞬に、すべてを持っていかれる。
今回の折れたロッドは、その当然の帰結であった。
この釣りは、勧めるべきものではない。
ただ――
サンゴ礁の力と、フライロッドを振りたい欲との合流点としては
これ以上ない場所であることも、また事実なのである。
やんばるの静かな森を自分のペースで楽しむように、海も自分のペースで楽しめた一日であった。
By 山田YRN 2026年4月